ドイツ現代美術
・ドイツ現代美術
-
-
ナチスの台頭による退廃芸術弾圧と第二次世界大戦は、多くの芸術家が
命を落としたり、アメリカへ移住するなどし、ドイツの芸術は壊滅的となります。
1955年、カッセルで開かれた現代美術展で退廃芸術と呼ばれた芸術が名誉
を回復。
1960年代からのフルクサスの時代以降、古代の神話からナチス・ドイツのい
まわしい時代まで含めたドイツの歴史や文化、戦前のドイツ表現主義の手法、
資本主義リアリズムを表現する作家が登場しています。
-
ドイツの現代美術全般については買取重点商品です。
-
-
-
-
ヨーゼフ・ボイス
Joseph Beuys(1921年5月12日-1986年1月23日)
1921年、ドイツ北西部の町、クレーフェルトに生まれます。
第二次世界大戦時にはドイツ空軍に入隊し東部戦線で戦い負傷、戦争末
期には西部戦線にて戦闘に参加しますが、イギリス軍の捕虜となります。
1960年代にフルクサスに参加、多くのオブジェを制作しパフォーマンスを
演じるようになります。
1970年代には、教授を務める芸術アカデミーにおいて、入学できる学生数
の制限に反対し、自分自身で「創造性と学際的研究のための自由国際大
学」を設立するなど思想家、活動家色が強まっていきました。
脂肪やフェルト、野うさぎの死骸を使った作品や、展覧会会場で観客と民
主主義について議論を交わしたり、創造性によって社会を形成するという
「社会彫刻」概念を生み出すなど、インパクトを与える表現と思想をもって
芸術の新たな可能性を広げ、多くの人々に影響を与えたアーティストです。
-
-
ゲルハルト・リヒター
Gerhard Richter(1932年2月9日-)
1932年、旧東ドイツのドレスデンに生まれます。
ベルリンの壁によって東西ドイツの行き来が禁止される寸前の1961年、
西側のデュッセルドルフに移住し、デュッセルドルフ美術アカデミーに入学。
シグマール・ポルケと共に、「資本主義リアリズム」という芸術家グループ
を作ります。
初期の頃から製作されているフォト・ペインティング、モザイクのように多く
の色を並べた「カラー・チャート」、カンバス全体を灰色の絵具で塗りこめた
「グレイ・ペインティング」、様々な色を折りこまれた「アブストラクト・
ペインティング」、幾枚ものガラスを用いて周囲の風景の映り込む作品など、
多様な表現で現代資本主義の現実を描く世界的に評価の高い作家です。
-
-
ゲオルグ・バゼリッツ
Georg Baselitz(1938年1月-)
1938年、旧東ドイツ、ドレスデン近郊の小さな町ドイチュバゼリッツに生
まれます。20歳のときに東ベルリンから西ベルリンに移住。米国の抽象
表現主義をはじめとする西側絵画に触れます。
1969年、人物や動物などのモチーフを「逆さ」にした衝撃的絵画を発表。
「モチーフの転倒」という特異な方法は現在に至るまで、現実のモチーフ
に従属しない自律した絵画を創生した方法、モダニズム絵画の方法とし
て世界中から極めて高い評価を受けています。
-
-
アンゼルム・キーファー
Anselm Kiefer(1945年3月8日-)
1945年、ドイツのバーデン・ヴェルテンベルク州ドナウエッシンゲンに生ま
れます。
後にデュッセルドルフ芸術アカデミーで絵画を学び、ヨーゼフ・ボイスらに
師事しました。
1960年代末から、古代の神話からナチス・ドイツのいまわしい時代まで
含めたドイツの歴史をテーマとした写真や絵画作品を発表します。
1980年代以降は、巨大な画面に実物の藁が塗り込められたり、書物、
鉛、砂、衣服など多くの素材を使った、コンセプチュアルな意味が込めら
れた作品を発表しています。
-
-
レベッカ・ホーン
Rebecca Horn(1944年3月-)
1944年、ドイツ・ヘッセ州に生まれます。
ハンブルグのアーツ・アカデミーで学んだ後、1972年にカッセルで開催され
た現代美術展「ドクメンタ5」に参加。
パフォーマンス、インスタレーション、映像、ドローイングなど、様々なメディ
アを駆使した作品を発表し、その自由な創造を通して、現代における芸術
の可能性を問いかけています。
-
-
A.R.ペンク
A.R.Penck(1939年10月-)
1939年、旧東ドイツのドレスデンに生まれます。
東ドイツでの芸術活動は常に秘密警察の監視下にあり、その後の作風に
影響を与えたと言われます。1980年に西ドイツに移住します。
古代の表象文字や、地上絵のようなプリミティブなモチーフを多用し、ドイツ
絵画の新表現主義の発展に大きく貢献した画家・版画家のひとりです。
-
-
ジグマー・ポルケ
Sigmar Polke(1941年2月13日-2010年6月10日)
1941年、現ポーランドのシレジア地方に生まれます。
1953年に西ドイツに移住した後、デュッセルドルフを拠点に芸術活動を始
めます。
1960年代にゲルハルト・リヒターらとともに「資本主義リアリズム」を掲げた
美術運動を展開してドイツ現代絵画の先鋒として世界的に高い評価を得
ています。写真やポップアートを絵画に取り入れながら、自身のトレードマ
ークのドットによる絵画、キャンバスの代わりにプリントの布地や透明なベ
ースに描いた絵画など、様々な実験的な手法を開拓しているアーティスト
です。
-
-
ホルスト・ヤンセン
Horst Janssen(1929年11月14日-1995年8月31日)
1929年、ハンブルクにて生まれます。
1946年よりハンブルグ美術学校に学びます。
1950年代から版画作品を本格的に制作します。パウル・ヴンダーリヒから
銅版画を学びました。
1968年にヴェネチア・ビエンナーレの版画大賞を受賞して国際的に認めら
れます。
北斎を愛し、版画という共通点を持つということに以外に、北斎の人生に深
く共感しています。またその素描は「デューラーの再来」とも言われ、天才線
描家として名高いです。
-
-
パウル・ヴンダーリッヒ
Paul Wunderlich(1927年3月10日-2010年6月6日)
1927年、ドイツ東部エーバースワルデで生まれます。
1947年よりハンブルグ美術学校に学びます。
エロス(愛)とタナトス(死)の世界を創造し、写真や歴史上の名画をメタモ
ルフォーゼ(変容)した幻想的なリトグラフ作品が高い評価を得ています。
-
-
-