蓼科の無藝荘へ
日本映画を代表する監督、
脚本家の小津安二郎。
無藝荘(むげいそう) は、
小津安二郎が晩年仕事場や
東京から訪れる映画関係者などの
接待の場として利用した別荘で
かや葺き屋根の建物です。
昭和28年に東京物語を撮り終え
翌年、初めて蓼科高原を訪れ
この地を大変気に入り
30年頃から没するまでの
七作品全てのシナリオが
この蓼科で書かれたそうです。
屋内では小津作品が上映され
囲炉裏には火が焚かれていて
炭で黒くなった天井や
色がついた障子
しみじみとした味わい風情があり、
時の濃さを感じました。
帰ってから観ました
「秋刀魚の味」(1962年)
自分の知らない頃の昭和
歳を重ねてから観る小津作品は
優しさ愛しさや寂しさなど
何とも言えない感情が
心の底へ静かに深く染み入り、
鑑賞後は 嗚呼 いいなぁ と、
20代の頃には感じられなかった
温かくやわらかな思いが込み上げました。
物語も俳優の方々も
一つ一つの絵も素晴らしく
本当にいい映画だったと
感じました。
岩下志麻さんがとても綺麗で
可愛らしいかったです。